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伝わる“冷たさ”表現の極意|シズルチャンネルVol.8

伝わる“冷たさ”表現の極意|シズルチャンネルVol.8
Update

シズルで企業の課題解決!シズルのすべてをお伝えするシズルチャンネル

シズル感は、ビジュアルコミュニケーションにおいて瞬時に心を掴む要素として不可欠です。これまでの記事でシズルの基礎を学んだ皆さんへ、シズルディレクター兼フォトグラファーの大手仁志が、30年の経験を基に、より具体的なシズル撮影の技術について解説します。

これまでの記事
vol.1:シズルで企業の課題解決!シズルのすべてをお伝えするシズルチャンネル
vol.2:シズル撮影で瞬殺!ビジュアルで心をつかむプロの秘訣
vol.3:シズル感で魅力倍増!プロが教える撮影テクニック
vol.4:写真が語る“らしさ”とは――伝わるビジュアルをつくる、フォトディレクションの力
vol.5:どこまでOK? 優良誤認にならない“シズル表現”とは 
vol.6:伝わる!麺シズルの極意――箸あげひとつで、おいしさは倍増する  
vol.7:伝わる!立体シズルの極意――具材の“存在感”が、おいしさを決める 

シズルディレクター兼フォトグラファーの大手仁志

シズルディレクター兼フォトグラファー 大手仁志

vol.8:伝わる“冷たさ” 表現の極意

料理写真において「温度感(熱々、冷え冷え)」を表現することは、見る人の食欲を直接刺激する非常に重要な要素です。写真には味も匂いもありませんが、「温度」の視覚的シグナルを適切にコントロールすることで、あたかもその場で提供されているかのような臨場感を生み出すことができます。

 

1. 料理写真における「温度表現」の基本概念

料理写真の温度感は、主に以下の3つの視覚的要素によって作られます。

  • 空気感とテクスチャ:湯気、結露、霜、油脂の溶け具合など
  • 光の回し方:ライティングの質と方向
  • 色彩コントロール:暖色・冷色の色温度とコントラスト

「温度感=料理の「命」の瞬間を切り取ること」

温かい料理は「保温」ではなく「作りたて」を、冷たい料理は「冷えている」のではなく「溶け出す/冷気を感じる直前」を表現するのが鉄則です。 とは言え、微調整が必要な広告写真(特に販促系の写真)ではリアルタイムで撮影することが難しいため、それらを演出する方法も用いられます。

 

2. 冷たい料理(冷感)の表現テクニック

冷たい料理(サラダ、刺身、ドリンクなど)で重要なのは「水滴」「霜」「透け感」です。

① 水滴・結露のコントラスト(グラスや器)

水滴の表現:グラスについた水滴は、サイズ感により温度の違いを表現します。温度がより低い場合(キンキンに冷えたビール)は水滴の粒は細かくなります。逆にそれほど低くない場合(ソフトドリンクの冷たさ)は水滴の粒は大きく表現します。

 

水滴サイズ違いの写真

液温水滴スケール

液温水滴スケール

ビール:コーラ

ビール:コーラ

 

② 透明感と立体感を出す(透過光ライティング)

ライティング: 氷やジュース、ゼリーなどは透過光(後ろや下から光を透かす)を使うことで、氷の表情などを表現したり、キラキラとしたハイライトによって、涼しげな透明感が強調されます。

硬い光の使用:温かい料理には柔らかい光(ソフトボックスなど)を使うことが多いですが、冷たい飲み物にはあえてディフューザーを外した硬い直射光を当てることで、氷のシャープさやキラキラ感を際立たせます。

 

透過光の有無

ハイライト透過光

ハイライト透過光

 

ディフーザー有無

ライティング

ライティング

 

③ 器のセレクトと色温度(ホワイトバランス)の設定

器のセレクトによっても清涼感の感じ方が変わってきます。厚みのある器より薄手の器、陶器よりガラスの器の方がより清涼感を感じます。

ホワイトバランス(WB)を低めに設定し、ほんのり青みがかった爽やかなトーンにします。背景や小物にも青、白、ガラス、シルバーなどの「清涼感」のある素材を合わせます。

 

器のセレクト

清涼感

清涼感

 

色温度違いの写真

色温度違いの写真 ・色温度

色温度

 

3. 冷表現テクニックのまとめ

表現要素冷たい料理(Cold)の撮影のポイント
主役となるシグナル結露(水滴)、氷、透け感、霜
基本のライティング透過光・サイド光(硬めの光も活用)
ハイライトの質点で光るキラッとした強い反射
色温度 (WB)低め(ブルー/青・白寄り)
背景・スタイリングガラス、シルバー、アクリル、青・白

 

4. まとめ


①「時間の限界」との戦い

温度表現は時間との勝負です。湯気は数秒で消え、氷は数分で溶け、肉の脂は固まります。撮影前の「ダミー(仮組み)」による徹底したライティング調整と、本番のスピード感が不可欠です。また、それらを演出するテクニックが必須となります。


②物理的温度と「視覚的温度」の違い

実際に料理が熱い・冷たいこと以上に、「人間がそれを熱い・冷たいと認識するシグナル(水滴、湯気、色)」をいかにデフォルメして強調するかが、写真における温度表現の絶対的本質です。

 

文・撮影:大手仁志 (アマナ)

 

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