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2026年日本BtoB広告賞受賞作品に見る最新トレンド──「伝える」から「伝わる体験」へ

2026年日本BtoB広告賞受賞作品に見る最新トレンド──「伝える」から「伝わる体験」へ
Update

この記事でわかること

  1. 2026年日本BtoB広告賞で注目された5つの受賞作品と、そのクリエイティブの特徴
  2. 専門性や製品機能など、BtoB企業の「見えにくい価値」を伝えるための表現の工夫
  3. 「理解への入口」「解釈の余白」「接点全体の体験」に見る、2026年の3つのクリエイティブトレンド
  4. 前年からBtoBコミュニケーションがどう変化し、「伝える」から「伝わる体験」へ広がっているのか

BtoB企業が扱う商品や技術、サービスには、その価値が一目では伝わりにくいものが少なくありません。だからこそ、「何を伝えるか」と同じくらい、「どうすれば興味を持ち、理解してもらえるか」が重要になります。

1980年から開催されている日本BtoB広告賞。第47回となる2026年は、全15部門・523点の応募があり、シスメックスの「誰かに話したくなる 血液トリビア」が最高賞となる経済産業大臣賞を受賞しました。

今年の受賞作を見渡すと、専門的な技術や製品機能、企業理念、仕事の価値を一方的に説明するだけでなく、受け手が興味を持ち、自ら発見したり、感じたり、考えたりできる表現が目を引きます。

本記事では、5つの受賞作品を紹介しながら、2026年のBtoBコミュニケーションに見られる変化を読み解きます。

 

2026年日本BtoB広告賞 注目受賞作品

1.シスメックス「誰かに話したくなる 血液トリビア」


経済産業大臣賞(ポスターの部) 
広告主:シスメックス株式会社 
制作会社:株式会社アマナ 

 

シスメックス「誰かに話したくなる 血液トリビア」車内広告
出典:シスメックス公式サイト

 

血液や尿などを採取して調べる検体検査分野を中心に事業を展開するシスメックス。2025年夏、Osaka Metro御堂筋線の1編成10両を使い、「血液」をテーマにしたトレインジャック広告を展開しました。

車内には、サメやワニ、ゴリラなどを題材にした「誰かに話したくなる」血液のトリビアを掲載。専門性の高いテーマを知的好奇心を刺激するコンテンツへ変換し、血液や検査、シスメックスを知るきっかけをつくりました。

審査では、「血液を追求する企業」という本質を分かりやすく伝えながら、企業理解へ自然につなげたコミュニケーション設計などが評価されています。

本作品の企画・制作背景については、今後シスメックス×アマナ事例記事にて詳しく紹介予定です!

 

2SmartHR 10th Anniversary「人が、社会が、本当に欲しいもの」


ウェブサイト<企業・学校PR>の部 金賞 
広告主:株式会社SmartHR 
制作会社:株式会社トルク、株式会社ツドイ 

 

株式会社SmartHR 10th anniversary トップ画面
出典:SmartHR公式サイト 

 

クラウド人事労務ソフト「SmartHR」のサービス提供開始10周年を記念して制作された特設サイトです。ユーザーとSmartHRがともに変化してきた歩みをたどる対談、「働く」のこれからを考える有識者インタビュー、代表による次の10年へのメッセージなどを掲載しています。

クリエイティブの軸となったのは、SmartHRがサービス立ち上げ期から大切にしてきた「人が欲しいと思うものをつくる」という考え方。色彩豊かなグラフィックや言葉を重視した表現に加え、社内外を巻き込んだコンテンツによって、顧客とともに歩んだ10年と次の10年への思いを伝えています。

特徴的なのは、周年サイトを自社の歴史や実績だけを振り返る場にしていないことです。顧客や有識者など、さまざまな視点を取り込みながら「これからの働く」というテーマへと広げています。

企業の歩みを伝えるだけでなく、企業が向き合うテーマについて、ともに考える接点をつくった作品と捉えることができます。

 

3.ミツトヨ「測るが、はかどる。」


ウェブサイト<製品・イベントPR>の部 金賞 
広告主:株式会社ミツトヨ 
制作会社:セザックス株式会社 

 

出典:ミツトヨ公式サイト トップ画面
出典:ミツトヨ公式サイト 

 

精密測定機器を手掛けるミツトヨによる「カンタマイク MD-E」の特設サイトです。「測るが、はかどる。」というコンセプトのもと、同社の標準的なマイクロメータと比べて約4倍のスピンドル移動速度をはじめとする性能や新機能を、ビジュアルや自動再生動画を用いて紹介しています。

サイトの狙いは、ユーザーが商品特長を直感的かつ短時間で把握し、導入判断をスムーズに行えるようにすること。製品の特長を数値や文章だけで説明するのではなく、動きを視覚的に伝えることで、その違いを捉えやすくしています。

ここで重要なのは、機能訴求をやめたわけではないことです。

BtoB製品に欠かせない具体的な性能を示しながら、その違いを直感的につかめる表現へ変える。「何を伝えるか」にとどまらず、「どう直感的に伝わるか」という体験までデザインした作品といえます。

 

4.エームサービス「つくるのは、日本一の食堂だ。」


映像部門<採用系映像>の部 金賞 
広告主:エームサービス株式会社 
制作会社:株式会社キャリタス、株式会社バウンスバックボーイズ、株式会社MINEX 

 

出典:エームサービス公式チャンネル

 

社員食堂などの食事サービスを展開するエームサービス。その総合職の仕事と働く魅力を描いた、9分を超える採用映像です。

舞台は社員食堂ですが、描かれるのは食事を提供する場面だけではありません。実在する社員を主人公に、さまざまな人とコミュニケーションを取り、自ら動き、周囲をリードしながら提案を実現していく姿を追っています。

背景にあったのは、学生から見えにくかった総合職の「マネジメント・企画・価値創出」という役割です。調理師や栄養士、パート社員らと連携して現場を動かし、クライアントの課題に「食」を軸とした解決策を提案する。そうした総合職の役割を、実際の仕事の流れに沿って映像で可視化しました。同作は審査でも、主人公の自然体な魅力や、周囲を巻き込みながら提案を実現していく姿などが評価されています。

仕事内容を説明するのではなく、仕事を通じて何が生まれているのかを見せる。 採用映像でありながら、エームサービスが顧客にどのような価値を提供しているのかまで伝わる作品です。

 

5.ノーリツ:自分だけの一歩~「なくてはならない」のはじめかた~


審査委員会特別賞(PR誌の部) 
広告主:株式会社ノーリツ 
制作会社・制作者:株式会社Que、小日向まるこ 

 

ノーリツ:自分だけの一歩~「なくてはならない」のはじめかた~絵本の表紙
出典:ノーリツ公式サイト (絵本のプレビューをご覧いただけます)

 

湯まわり設備を手掛けるノーリツが、社内の理念浸透施策として制作した絵本です。若手社員で構成された社内ワークショップを通じて企画・制作され、創業の原点である「お風呂は人を幸せにする」という考えを改めて見つめ直しながら、一冊の物語へと形にしました。

特徴的なのは、企業理念を解説する冊子ではなく「絵本」を選んだことです。絵本ならではの余白や問いかけを通じて、読み手自身が考え、それぞれの「自分なりの一歩」を見つけるきっかけをつくることを目指しました。理念浸透をテーマにした表現手法や、読者の共感を促すストーリー性も評価されています。

理念を伝えることから、理念について自分自身で考えることへ。完成した絵本だけでなく、社員が制作に参加するプロセスまで含めて、理念との接点をつくった作品です。

 

2026年日本BtoB広告賞に見る3つのクリエイティブトレンド

前年の日本BtoB広告賞では、商品やサービスの機能だけでなく、企業の姿勢や理念をどう形にするかが一つのテーマとして見えてきました。

2026年はその流れがさらに進み、企業が伝えたいことを表現するだけでなく、それが受け手にどう届き、どう受け取られるかまで設計する動きが広がっています。

そこには、「理解への入口」「解釈の余白」「接点全体の体験」という3つの方向性が見えてきます。

 

1.「伝える情報」より、「理解への入口」をつくる

専門性の高いBtoBでは、正確に伝えようとするほど説明が増えがちです。しかし今年の受賞作から見えてくるのは、情報量そのものではなく、どこから興味を持ち、どうすれば価値へたどり着きやすくなるかを考える姿勢です。

専門性を薄めるのではなく、コピー、ビジュアル、映像、インタラクションなどを使って、難しい情報への入口をつくる。BtoB広告では、伝える内容だけでなく、理解までの導線そのものがクリエイティブの対象になっています。

 

2.「答えを届ける」より、「解釈の余白」をひらく

企業理念やビジョンの発信でも、完成したメッセージを一方向に届けるだけではない表現が目立ちます。

企業側が答えを示し切るのではなく、問いや物語、さまざまな視点を通じて、受け手自身が考え、自分との関係を見つけられる余白を残す。企業が「何を考えているか」を伝えることから、その考えに触れた人が「自分はどう考えるか」まで含めて設計する方向へ、コミュニケーションが広がっています。

 

3.「広告をつくる」から、「接点全体の体験」を考える

もう一つ見えてくるのが、ブランドコミュニケーションを、個々の広告表現だけでなく、企業と人との接点全体で捉える動きです。

Webサイトでの情報の受け取り方、社員が理念について考えるプロセス、求職者が仕事を理解する過程など、企業と人が接する一連の体験そのものがブランドコミュニケーションになっています。

何を見せるかだけではなく、どんな順番で知り、何を感じ、どんな理解へつながるのか。2026年の受賞作からは、個々の広告表現をつくることから、企業との接点そのものをデザインする方向への広がりが見えてきます。

 

「見えにくい価値」を、伝わるブランド体験へ

では、自社の技術や事業、理念を、どうすれば相手に届く形へ変えられるのでしょうか。

「自社らしさはどこにあるのか」「誰に、どのような形で伝えればよいのか」を整理し、具体的な表現へ落とし込むには、さまざまな視点が必要です。

アマナでは、社内外への調査やワークショップを通じて企業やブランドの本質的な価値や課題を掘り起こし、コンセプト策定から具体的な表現まで一貫して支援しています。また、Webサイトやアプリなどのデジタル領域では、UI/UXデザインからシステム構築まで、ブランドの魅力を伝える体験づくりをサポートしています。

「自社の価値をうまく言語化できない」「伝えたいことはあるものの、どのような体験にすれば届くのか分からない」といった課題をお持ちの方は、ぜひアマナへご相談ください。

アマナのサービス:

 

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文:小林拓美

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