リモートで共創は生まれるか? 企業のDXを支援するNTTコミュニケーションズの挑戦

NTTコミュニケーションズが主宰する共創コミュニティ、C4BASE。大企業で新規事業やイノベーションを担当するビジネスパーソンが多く参加し、NTTコミュニケーションズが持つIT技術を使いながら新しいサービスやプロダクトが開発されています。以前は内容や演出にこだわったリアルイベントを定期的に開催し、会員と交流を深めていましたが、直接的なコミュニケーションが制限される今、どのようにしてコミュニティを形成しているのでしょう。C4BASEの運営を担当する柴田知昭さん、穐利理沙さんに伺いました。
オンラインでコミュニティを形成するリッチなコンテンツ制作
C4BASE
NTTコミュニケーションズが主宰する共創コミュニティ。個⼈の想いを起点に、夢を語り、旗を⽴て、仲間を集め、個⼈・企業・社会をつなぐ4thプレイス(新しい活動を行う場)として、社会的に意味のある・価値のあることへと繋げることを目的としている。
——まず、C4BASEではどのようなお取り組みをされているかお聞かせください。
柴田知昭さん(以下、柴田。敬称略):NTTグループというと通信サービスを連想する方も多いと思いますが、NTTコミュニケーションズ(以下、NTTコム)では、さまざまな企業で推し進められているデジタルトランスフォーメーション(DX)をサポートするため、データ利活用ビジネスに必要なすべての機能をワンストップで提供しています。
これまでのイベントの様子。
柴田さん。
7月15日に開催されたウェビナーの様子。アマナの次世代型バーチャル・ライブ・ビジュアルソリューション「deepLIVE」を使い、C4BASEの世界観を演出した。
※…Proof of Concept。新しい概念や理論、原理、アイディアの実証を目的とした、試作開発の前段階における検証やデモンストレーションのこと。 また、C4BASEは「共創」をテーマにしたコミュニティなので、オンラインであっても「一緒につくっていく感じ」というか、双方向性のあるコミュニケーションを生み出せるようにしたいとも考えています。
穐利さん。
オンラインでつくるC4BASEの“手触り感”とは?
——会員のみなさん一人ひとりに寄り添うために、アクセスの解析をしていくと。 柴田:C4BASEの会員の方々は大企業の中で新規事業を担当している方たちがメインなのですが、大企業の中で新しいことにチャレンジすると、共通してぶち当たる壁があると思うんです。C4BASEに入る目的が、共創のパートナーやアイデアを一緒に考えてくれる人、伴走してくれる人を探すことだと想定すると、一人ひとりが持つ悩みをC4BASEで共有し、共感しあいながら一緒にやっていけるような雰囲気づくりをすることが重要なのではないかなと。 一緒につくっていくことで、C4BASE独自の“手触り感”を感じてもらえるのではないかと思いますし、実際に共創して生まれた内容をコンテンツ化し、C4BASEのWebにアップすることで、それを見た他の会員の方にも「こんなふうに共創できるのか」と思ってもらい、次の取り組みにつながる。そんな流れができればいいなと考えています。みなさんがやりたいと思っていることを実現するためにC4BASEを使っていただきたいですね。
——C4BASEでは会社単位ということよりも先に、一人ひとりの悩みややりたいことに注目されているのですね。
柴田:C4BASEで一番大切にしているのが、「個人視点」をビジネスや社会につなげていくことです。会員のみなさんは大企業の中でも新しい事業を担当されている方ばかりで、個性がとても豊か。複数の副業をしながら視野を広げていらっしゃる方や、企業でもともと持っている技術を従来の事業とはまったく異なる分野にどう活かすかを考えていらっしゃる方などさまざまです。従来の枠組みに当てはまらない働き方や考えを持つ方が多いからこそ、一人ひとりの個性や考え方を反映させていきたいと考えています。
共創で生まれたプロトタイプの数々
――C4BASEで生まれた案件にはどのようなものがありますか? 柴田:たとえば、このコロナ禍に着目すると、ソーシャルディスタンスを考慮した顧客接点に関する案件相談が多くなっています。特にリアル空間での顧客接点を持っている企業にとっては大きな課題の一つです。 私たちC4BASE、中でもDX Landerのメンバーはそんな会員の皆さまの相談に対し、NTTコムが持つ3Dホログラム技術を使って非接触型タッチパネル「エアリアルUI」を活用した未来型の顧客体験を提案し、店舗の受付に導入するケースが出てきました。具体的には、空中に浮きあがった画面にタッチ操作することで、店頭商品の詳しい説明を見ることができるユーザーインターフェースです。「3Dホログラムというテクノロジーを使ってワクワクする世界観を提示する」、そんな案件を増やしていきたいです。
「エアリアルUI」は、画面に触れることなくパネルの操作を行うことができる。
ポジティブにDXを進めていくために
――C4BASEは貴社の中でも新しいお取り組みだと思いますが、社内へのブランディングはどのように考えていらっしゃいますか? 柴田:C4BASEはもともと全社的な取り組みではなく、営業部の中の閉じた取り組みで、こじんまりとしたものでした。しかし、NTTコム全体が企業のDXパートナー=「DX Enabler(イネーブラー)」としての認知を拡大していくという方針になったことで、C4BASEの活動も徐々に広げていくことになりました。 当初は社内の理解が得られないときもありましたが、社内向けイントラネットで活動内容を公開したり、お客様向けのセミナーを社内のイベントホールで開催して社員にも見てもらったり、商材をつくっている部署に対して会社全体のマーケティング活動の一貫だということをPRしたりしていくことで、少しずつ認知度が上がっていったと思います。 ――社内認知度が上がったと感じるタイミングはありましたか? 柴田:新しいサービスが開発・検討されていると、開発担当部署から「C4BASEで宣伝できないか」、「利用シーンをお客様と一緒に考えられないか」と相談を持ちかけられることが少しずつ増え、認知度が上がったことを感じました。 穐利:NTTコムでは、これまでマーケティングに対する意識が醸成されていなかったため、「なぜ我々が稼いだお金をそんなことに使ってしまうのか」と思う営業担当者もまだまだいると思いますし、私も以前は営業を担当していたので、その気持ちもわかります。だからこそ、いろんな部署と丁寧に調整を重ねていますし、そのおかげもあってようやく社内認知度が上がってきましたね。
――コロナ自体はよくないことですが、DXが急務になったことで社内外問わず意識が変わった方もいるのではないでしょうか。
柴田:そうですね。ですが、DXに対する認識は人それぞれで、デジタルの活用による効率化や、コロナで会えないからデジタルでやろうということだと認識している方もいると思います。でも、DXは単なる効率化ではなく、デジタルを使ってビジネスをトランスフォーメーションし、新しい事業やサービスを作っていくことであり、新しい社会を考えていくということなんですよね。
穐利:新しいもの、新しい生き方を生み出すには、会員のみなさんに対しても、社内に対しても、楽しい雰囲気である必要があると思っています。シビアなビジネスの世界では、ギスギスした現場にいる方も多いと思うのですが、DX分野では自分のやりたいことに忠実であるかどうかが大事で、楽しんでやっている雰囲気でないと新しいアイデアや発想は生まれにくいのではないでしょうか。営業担当も含め、そのことを意識して会員のみなさんに接し、それが社内にも伝播していくことで、C4BASEとしても、NTTコムとしてもポジティブにDXを進められたらいいなと思っています。
C4BASEらしい、未来をつくるワクワク感
加速するDXを背景に、C4BASEを通して企業のDXパートナーとしての存在感を徐々に大きくするNTTコミュニケーションズ。会員とともに悩み、考え、つくるため、時には忖度ない意見を交わし合うこともあるといいます。
共創には技術や機能面で足りない部分を補完しあうことも必要ですが、悩みや課題、思い描く未来のイメージを共有することも欠かせません。大企業にとって新しいことを実現するには、風当たりの強いときもありますが、お二人は「アイデアを思いついた瞬間のワクワク感と、それが一歩ずつ形になっていく瞬間が楽しい」と語ります。このポジティブにチャレンジし続ける姿勢を共有できることが、C4BASEの魅力の一つとなっているのではないでしょうか。
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撮影[top]:秦 和真(amana)
撮影[interview]:川面健吾
AD[top]:片柳 満(amana DESIGN)
文・編集:徳山 夏生(amana)







