【DESIGNART TOKYO 2026】異なるものが重なるとき、何が見えるのか。FIGLAB「MOIRÉ 干渉するイメージ」

この記事でわかること
- アマナがDESIGNART TOKYO 2026に出展する狙い
- AI時代におけるクリエイティブと体験することの意味
- アマナのクリエイティブ最先端事例
2026年10月30日から11月8日まで、デザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO 2026」が都内各所で開催されます。アマナは、2025年に自動車専用道路としての役目を終えた東京高速道路(KK線)のメイン会場に10月30日から11月3日まで出展します。
展示タイトルは「MOIRÉ 干渉するイメージ」。アマナのプロトタイピングラボ「FIGLAB」と、2026年にアマナグループに加わったクリエイティブR&Dスタジオ「Qosmo」が、写真と生成AI、水と鏡、言葉、ポートレートといった異なる要素を重ねた多様な作品を出展します。なぜいまアマナがアートとデザインの祭典に出るのか、そして会場では何が体験できるのか。プロジェクトメンバーに聞きました。
「アマナのイメージ」を体験で伝える・広げる
FIGLABは、アマナに置かれたプロトタイピングラボです。プロジェクトマネージャーの水流匡尚(以下、水流。敬称略)は、出展の背景に、アマナがいまも写真やCGといったビジュアル制作会社として認識している人が少なからず存在する現状を挙げます。FIGLABが世の中に出ることで、写真や平面のグラフィック、動画だけでなく、テクノロジーや新しいメディア表現の分野でもクリエイティビティを発揮しカテゴリを超えたコミュニケーション、ブランディングに貢献できると理解してもらいたい。それが出展の理由のひとつでした。
加えて、2026年2月にアマナグループに加わったQosmo(コズモ)は、AIと音楽を軸にさまざまなクリエイティブを世の中に送り出してきました。グループの強みを伝えるため、Qosmoも出展することにしたといいます。
「MOIRÉ(モアレ)」は、異なる作品を一つの展示にまとめる軸
展示作品は、FIGLABがこの2~3年につくってきたアートワークがベースです。作品化の手前にあるプロトタイプよりも、完成した作品を見せる方が来場者のイメージにつながりやすいと判断し、そこに今回向けのアップデートを加えています。一方で、プロトタイピング的なアプローチの展示物もQosmoの協力を得て出展します。
アマナの展示テーマ「MOIRÉ(モアレ)」は、複数のパターンが重なることで、もとの要素には存在しなかった新たな模様が現れる現象を指します。作品も、つくった人も、考えも異なるなかで、一つの展示としてまとめる方法を考えたときに浮かび上がったテーマでした。DESIGNART TOKYOの全体テーマ「Hibiki」とも親和性が高いと考え、展示空間をまとめる軸として掲げたといいます。
名作の写真作品を言語化しAIで生成する「After Walker Evans 2」
「After Walker Evans 2」はFIGLABのAphic(三井所高成/佐藤史崇)による作品です。出発点は、アメリカの写真家ウォーカー・エヴァンスの写真集「American Photographs」。それをアーティストのシェリー・レヴィンが複写して自らの作品「After Walker Evans」として発表し、作者性やオリジナリティはどこにあるのかを問いかけました。本作はその系譜に連なるものだと、FIGLABの佐藤史崇(以下、佐藤。敬称略)は説明します。
制作では、エヴァンスの写真を見て、その内容を細かくプロンプトとして言語化し、画像生成AIのStable Diffusionで1万枚以上の画像を生成。そのなかから人の目で一枚一枚確認し、オリジナルに最も近いものを選び出しています。エヴァンスの写真を学習・入力させてはおらず、佐藤はそっくりコピーする「複製」ではなく「生成」だと話します。アマナの原点でもある写真を、現在の技術環境を絡め作家性を問う作品です。
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揺らぐ水面に、自分と周囲の人が映り込む「Kyo」
「Kyo – Un-Boundaries in Reflection」は、FIGLAB 新村卓宏(以下、新村。敬称略)による、水と鏡を使った作品です。水面に振動を与えることで、映り込んだ自分や周囲の風景が揺らぎ、刻々と姿を変えていきます。
今回のDESIGNARTでは、これまでよりも大きなスケールで展示します。これまでの暗い空間での展示とは異なり、自然光のもとで、自分や周囲の人々・風景が重なり合う体験が生まれます。鏡に映る自分と、変化し続ける像。その不思議な関係を通して、自己と世界の境界を映し出します。
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Qosmoの新作は言葉をつなぎ、鑑賞のなかに「問い」を生む
Qosmoの中嶋亮介(以下、中嶋。敬称略)が手がけるのは、アマナの出展する作品の鑑賞と密接に関わりながら、観賞する人の視点に問いを投げかけるツールです。ベースにあるのは、Qosmoが2025年に始めた「Tangible Prompts」というシリーズ。言葉を扱うAIのインターフェースが「文字を入力して文字が出てくる」対話に偏っていることへの問題意識から、それ以外の形を探る試みです。
公開中のウェブアプリでは、言葉と言葉を線でつなぐと二つの概念を結ぶ新たな言葉が返ってきます。マイナスに捉えられがちなAIのハルシネーションも、「聞いたことがありそうでないもの」が発想のヒントになり、刺激になると中嶋は話します。
展示する新作では、各作品のキャプションなどをもとに言葉を空間に配置し、作品の横に置いたデバイスで来場者が操作します。気になる言葉をタップしたり、言葉同士をつないだりすると問いが現れ、自由に入力することもできます。鑑賞者自身が思いつかなかった見方に気づく「種」を出すことが狙いです。
各デバイスの操作は全体の画面にリアルタイムで反映され、ほかの来場者の問いも見られるようにする予定です。名称は「Tangible Prompts」とは別のものになる見込みで、現在開発中です。
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FIGCAM:AIで生成した「別の角度」を重ねるポートレート
「FIGCAM」は、撮影したポートレートにエフェクトを重ね、その場でしかつくれないオリジナルのポートレートをつくるFIGLABの撮影ソリューションです。今回はMOIRÉのテーマに合わせて新たに開発し、AIによる画像生成を取り入れました。来場者を正面から撮影し、その写真をもとに別の角度から見た画像をAIで生成。それらをグラフィカルに重ねることで、人を多角的に見るようなビジュアルが生まれます。撮影から生成、エフェクトまでは自動で行われ、完成した画像はQRコードでスマートフォンにて持ち帰れます。この表現はDESIGNART TOKYO限定で、ビジュアル表現におけるAIの活用は今後サービスにも取り入れていくと水流はいいます。
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作品の発表ではなく、体験を生み出す可能性を見てもらう場
コロナ禍~生成AIの浸透と移り変わりが激しい時代背景の中、ブランドの伝え方にも変化が見られます。海外のイベントでも企業はスローガンを打ち出すより、ブランドを感じさせる体験をつくり、何を伝えたかったのかは来場者に委ねているケースが見受けられると水流は指摘します。見る人が想像できる余白をつくることが体験の意味であり、アート表現には鑑賞者に委ねられる余白があり、問いも立てられるといいます。
水流はこの展示を、単なる作品の発表の場ではなく、アマナとしてどういう体験を生み出せるのか、その可能性を見てもらえる場にしたいと話します。異なる考えからつくられた作品が一堂に会したとき、どんな体験が生まれるのか。会場では、写真とAI、水と鏡、言葉とイメージなど、それぞれ異なる性質をもつものが重なり、影響し合うことで生まれるさまざまな「モアレ」を体験できます。新しい表現や体験のあり方に対するアマナ「MOIRÉ 干渉するイメージ」を、ぜひ体感していただきたいと考えています。

【開催概要】
イベント:DESIGNART TOKYO 2026
公式サイト:https://www.designart.jp/designarttokyo2026/
会期:2026年10月30日(金)~11月8日(日)
アマナ展示:「MOIRÉ 干渉するイメージ」:https://www.designart.jp/designarttokyo2026/exhibitions/13814/
アマナ展示期間:2026年10月30日(金)~11月3日(火・祝)
時間:10:00~19:00※最終日のみ17:00まで
会場:AUTOBAHN / KK line(東京都中央区銀座西2-2先)
メイン会場チケット:https://artsticker.app/events/155300(前売りは10月29日23:59まで)
出展作品:After Walker Evans 2(Aphic:三井所高成/佐藤史崇)、Kyo - Un-Boundaries in Reflection(新村卓宏)、Latent Constellation(仮)(Qosmo)、FIGCAM







